一途な御曹司と16歳の花嫁
「つむぎちゃんて、そのへんのお嬢様なんかよりもずっと可愛いんだよな。
俺、大切にするからさ、そろそろこの間の返事をきかせてよ」


彼が顔を近づけてこようとしたので、思い切り顔を逸らして、横に逃げようとした。


この間の返事って、なんだっけ。


あっ、そうか。この間、彼に付き合ってほしいと言われたんだった。


だけど、私は夫のある身だし、そうでなくてもこの人と付き合う気は全然ないわけで。


「つむぎちゃん」


「い、いや」


彼が鼻息も荒くなおも、詰め寄ってこようとしたので鞄でガードしたその時。


ガッと鈍い音がしてその人と、私の間には足が割って入った。


壁についたその長い足は、私からその人を守るためのもの。


「え、新海さん?」


「伊織さま」


松原さんはポカンと口を開けている。
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