一途な御曹司と16歳の花嫁
ギュッと手を握って、心からお祝いしてくれるサキちゃんの優しさに胸が暖かくなる。

そして、サキちゃんにだけはほんとのことを知ってもらえてよかったと思った。


「ありがとう、これからも変わらず仲良くしてくれる?」


「そんなの当たり前じゃん。つむぎは、つむぎだよ。伊織さま、つむぎのこと幸せにしてあげてください」


「ああ、もちろん」


彼は笑顔でサキちゃんに返事をしてから、私の方に目をやり、


「幸せにするよ」


って、真剣な口調で誓ってくれた。


胸がドキンと跳ねて、恥ずかしくて彼を見れなくて俯いた。


「ありがとうございます」


消え入りそうな声でお礼を言うのがやっとだった。


伊織さま、ご友人の前だからってこんな甘い嘘を言っているのかな?私が本気で真に受けたらどうするつもりなんだろう。
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