一途な御曹司と16歳の花嫁
彼のプロポーズを一瞬、嬉しいって思って身の程も知らないで流されてしまったから。


私がどうしても嫌だと突っぱねていたら、こうはならなかったのかもしれないのに。


「綾小路家には、近々正式に謝罪をしにいくつもりだから、その時ユリナさんにもきちんと謝るよ」


「謝ってすむ問題ならいいけどね」


憮然とするひまりさんは伊織さまをキッと睨みつける。


「どういうことだ?」


「さあ、知らない。けど、綾小路家もこのまま黙ってないんじゃない?」


「そうかもしれない。だけど、俺はもう引き返すつもりはないから」


伊織さまは、強い覚悟を秘めたようにきっぱりと言った。


その姿からは曇りのない潔さを感じた。


「あ、そ。悪いけど私はユリナの友達だし、手放しに2人をお祝いできない。二階堂くん、ごめん、先に教室に戻ってるよ」
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