聖女の魔力が使えません！～かわりにおいしい手料理ふるまいます～

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「うまい！　このソースがコメにも合う」

食堂には、屋敷の人間全員が集まっている。いずみとアーレスの食事時間なのだが、アーレスがあまりに喜んで食べるので、無くなるんじゃないかと不安そうな子供たちがそわそわと落ち着かなさげだ。

「アーレス様、やっぱりみんなで一緒に食べませんか？　そのほうが使用人の働く時間だって減らせるし」

「だが……」

「駄目ならせめて座って見ていてほしんです。みんなに見下ろされたまま食べるなんて落ち着かないんですもん」

いずみに両手を合わせて懇願されれば、アーレスも嫌とは言えない。
皆に席につくように告げ、「……イズミの世界では、使用人も一緒に飯をたべるのか？」と尋ねた。

「うーん。使用人がいるようなお屋敷に住む人はごく少数ですよ。私の家は普通の家庭ですので、家族で料理や洗濯など自分たちのことをして暮らしているんです」

「ほう」

アーレスは腕を組んで考えている。
頭ごなしにダメと言わず、いずみの世界でどうだったかを気にしてくれるのは、とても嬉しい。
彼が自分を理解しようとしてくれるのが分かるから。

「それに、みんなで食べると会話が広がって楽しんですよ。ね。アメリとハッセは今日は学校に行ったのよね？　どうだった？」