聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
*
翌日の、昼休憩。
アーレスが食堂のあまりおいしくない食事を、フォークで遊ぶようにつついていると、フレデリックがやって来た。
「だーんちょ、どうでした。昨日の休みは」
「どうってなんだ」
「聖女さま、実家に連れて行ったんでしょう? どうなりました。嫁姑のバトルとかありました?」
「お前なぁ……」
楽しそうなフレデリックにはあきれるばかりだ。
「至極順調だ。大体なんでその話をお前が知っているんだ」
「団長がなんで休みか聞いたら、副団長が教えてくれましたよ」
道理で、今日は妙にニヤニヤした目つきで皆から見られるはずだ。
副団長のルーファスはアーレスよりも年上なのであまりきつい言い方をするのは好かないが、後で釘を刺しておこう。
「順調の割には浮かない顔じゃないです?」
「……女性への贈り物は、なにがいいのか分からなくてな」
「は?」
怪訝そうなフレデリックに、相談しようか迷う。
こいつは軽そうだが、その分女性に対しての知識は豊富だろう。
「聖女にですか? 女性はドレスか宝石を贈っておけば間違いないと思いますけど」
「あまり派手な格好をさせたくないんだ」
「うわ、団長、のろけですか? ほかの男に見せたくないってやつですか」
フレデリックが気持ち悪い感じに相好を崩す。アーレスは思わず目をそらし、頷いた。
(……似合わないからだ。とは、いずみの名誉のために言いたくないな)
「まあ、そんなところだ」
「ふーん。聖女への贈り物ねぇ……」
フレデリックは腕を組んで考え込む仕草をする。
翌日の、昼休憩。
アーレスが食堂のあまりおいしくない食事を、フォークで遊ぶようにつついていると、フレデリックがやって来た。
「だーんちょ、どうでした。昨日の休みは」
「どうってなんだ」
「聖女さま、実家に連れて行ったんでしょう? どうなりました。嫁姑のバトルとかありました?」
「お前なぁ……」
楽しそうなフレデリックにはあきれるばかりだ。
「至極順調だ。大体なんでその話をお前が知っているんだ」
「団長がなんで休みか聞いたら、副団長が教えてくれましたよ」
道理で、今日は妙にニヤニヤした目つきで皆から見られるはずだ。
副団長のルーファスはアーレスよりも年上なのであまりきつい言い方をするのは好かないが、後で釘を刺しておこう。
「順調の割には浮かない顔じゃないです?」
「……女性への贈り物は、なにがいいのか分からなくてな」
「は?」
怪訝そうなフレデリックに、相談しようか迷う。
こいつは軽そうだが、その分女性に対しての知識は豊富だろう。
「聖女にですか? 女性はドレスか宝石を贈っておけば間違いないと思いますけど」
「あまり派手な格好をさせたくないんだ」
「うわ、団長、のろけですか? ほかの男に見せたくないってやつですか」
フレデリックが気持ち悪い感じに相好を崩す。アーレスは思わず目をそらし、頷いた。
(……似合わないからだ。とは、いずみの名誉のために言いたくないな)
「まあ、そんなところだ」
「ふーん。聖女への贈り物ねぇ……」
フレデリックは腕を組んで考え込む仕草をする。