聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
*
「四日間、遠征ですか?」
「ああ。と言ってもそう遠くはないんだが。一応泊まり込みでになるな」
屋敷に戻り、いずみにそれを報告すると、彼女は少し残念そうに肩を落とした。
「……どうした?」
「あ、いえ、すみません。お仕事なのに。……新しい料理をアーレス様に食べていただけないなと思ったらちょっと残念で」
「新しい料理?」
「コメがあるならば米酢もあるだろうと思って、隣国から取り寄せてもらっているんです。届くのが来週なので。……キュウリを使った酢の物を作ろうと思っていたんですけれど、アーレス様に一番に食べていただけないなんて残念だなって」
「一番? 一番はジョナスじゃないのか?」
何せ彼女と一緒に作っているのだ。誰よりも彼女の料理を一番に口にできる。アーレスはそれがいつもいら立ちの種だったというのに。
「……ジョナスさんはつくる人ですよね? 召し上がるのはいつだってアーレス様が一番じゃありません?」
いずみの何の含みもない返しに、アーレスは顔に血が上るのを感じた。
(俺は、なんて馬鹿な嫉妬をしていたんだ)
と同時に、咄嗟に出てきた言葉で、自分が嫉妬していたことに気づく。ますます顔を赤くするアーレスに、助け舟を出したのはリドルだ。
「四日間、遠征ですか?」
「ああ。と言ってもそう遠くはないんだが。一応泊まり込みでになるな」
屋敷に戻り、いずみにそれを報告すると、彼女は少し残念そうに肩を落とした。
「……どうした?」
「あ、いえ、すみません。お仕事なのに。……新しい料理をアーレス様に食べていただけないなと思ったらちょっと残念で」
「新しい料理?」
「コメがあるならば米酢もあるだろうと思って、隣国から取り寄せてもらっているんです。届くのが来週なので。……キュウリを使った酢の物を作ろうと思っていたんですけれど、アーレス様に一番に食べていただけないなんて残念だなって」
「一番? 一番はジョナスじゃないのか?」
何せ彼女と一緒に作っているのだ。誰よりも彼女の料理を一番に口にできる。アーレスはそれがいつもいら立ちの種だったというのに。
「……ジョナスさんはつくる人ですよね? 召し上がるのはいつだってアーレス様が一番じゃありません?」
いずみの何の含みもない返しに、アーレスは顔に血が上るのを感じた。
(俺は、なんて馬鹿な嫉妬をしていたんだ)
と同時に、咄嗟に出てきた言葉で、自分が嫉妬していたことに気づく。ますます顔を赤くするアーレスに、助け舟を出したのはリドルだ。