聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~

「実家の母に聞いてみればどうだ。どっちみち、一度イズミを連れて会いに行くつもりだったし」

「え?」

「バンフィールド家は俺以外は社交的な人間の集まりだ。貴族が持っているというなら、手掛かりのひとつくらい見つかるだろう」

「本当ですか? 私もお義母様にお会いしたいと思っていたので嬉しいです」

(母に? ……なぜ? 嫁は姑に会いたくないものじゃないのか? 実の母だが俺だってそんなに会いたいとは思っていないのに)

ノリノリになったいずみに、アーレスの疑問は尽きない。彼の母が彼女のためにたくさんの日常着を用意していたなど、露ほども気づいていないのだ。

「では日程を調整しよう。俺の仕事の休みの日になるがいいかな」

「もちろんです! ありがとうございます。アーレス様!」

再び晴れ渡るいずみの表情。
ここに来てからよく笑ってくれることをに、アーレスは改めて嬉しく思った。

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