クローゼット番外編~愛する君への贈り物
町までゆっくりと山道を下って行く。
一歩下る度に、町の様子がだんだんと鮮明に見えて来る。
そうだ、あそこはミランダばあさんの家だ。
けっこう怖いばあさんだったけど、薬草摘みの手伝いをしたら、パイを焼いてくれた。
そのパイを目当てに、子供たちは良く手伝いをしたものだ。
さすがにもう生きてはないだろうな。
俺が、この町を離れる頃には、年のせいなのか、すでに体調を崩し気味だったもの。
身寄りは確かいなかったはずだ。
(……あれ?)
そのミランダばあさんの家の煙突から、白い煙が出始めた。
ってことは、まだ誰か住んでるのか…
畑では中年の男性が、くわを奮っていた。
誰だろう?
ここからでは、顔が良く見えない。
そもそも、あれからもう十年以上経ってるんだ。
町に住む人達も、入れ変わっていてもおかしくない。
つまり、畑にいる人物が、俺の知らない人である可能性も強いのに…
町に行くのが、少しだけ怖かった。
ここまで来て、何を…とは思うものの、どこか躊躇う気持ちがあった。
何故だろう?
二度と戻らない、なんて言ってしまった手前、どこか恥ずかしいのか?
(馬鹿馬鹿しい…気にすることなんてないさ。)
自分にそう言い聞かせ、俺は町の中へ入って行った。
一歩下る度に、町の様子がだんだんと鮮明に見えて来る。
そうだ、あそこはミランダばあさんの家だ。
けっこう怖いばあさんだったけど、薬草摘みの手伝いをしたら、パイを焼いてくれた。
そのパイを目当てに、子供たちは良く手伝いをしたものだ。
さすがにもう生きてはないだろうな。
俺が、この町を離れる頃には、年のせいなのか、すでに体調を崩し気味だったもの。
身寄りは確かいなかったはずだ。
(……あれ?)
そのミランダばあさんの家の煙突から、白い煙が出始めた。
ってことは、まだ誰か住んでるのか…
畑では中年の男性が、くわを奮っていた。
誰だろう?
ここからでは、顔が良く見えない。
そもそも、あれからもう十年以上経ってるんだ。
町に住む人達も、入れ変わっていてもおかしくない。
つまり、畑にいる人物が、俺の知らない人である可能性も強いのに…
町に行くのが、少しだけ怖かった。
ここまで来て、何を…とは思うものの、どこか躊躇う気持ちがあった。
何故だろう?
二度と戻らない、なんて言ってしまった手前、どこか恥ずかしいのか?
(馬鹿馬鹿しい…気にすることなんてないさ。)
自分にそう言い聞かせ、俺は町の中へ入って行った。