クローゼット番外編～愛する君への贈り物
持って来たもので、軽く食事を済ませた。
まだ寝る時間には早いが、話し相手もいない。
こんなことなら、酒でも買って来れば良かった。
そんな後悔をしながら、俺は風にあたりに外へ出た。



外はもう暗い。
こんな時間には、もう外を歩く者も滅多にいない。
せめて、酒場でもあれば…
そんなことを思っても、ないものはないのだ。



静かだ。
この町は、昔からとても静かだ。
目を閉じれば、聞こえて来るのは風や葉擦れの音くらいだ。
初めて隣の町へ大道芸を見に行った時、田舎者の俺は、あまりの人の多さと騒がしさに具合が悪くなった程だった。



（……え？）



子供の頃の記憶を破ったのは、足音だった。
俺は目を開け、足音の方に振り向いた。
顔ははっきりとは見えないが、そこに立っていたのは男だ。
男は、俺の方に近付いて来る。
誰だろう…？
俺を知ってる者なのか？



三日月の薄明かりに男の顔が照らされた。
どことなく、見覚えのある顔だ。



「……もしかして…ジョッシュなのか？」

「えっ！？」

「やっぱり、そうだ！
ジョッシュ！俺を忘れたのか？
エイダンだ！」

「……エイダン…？
エイダンなのか！！」

俺は旧友の体を抱き締めた。
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