クローゼット番外編~愛する君への贈り物
「えーっ!信じられない!
ミランダばあさんは、俺が子供の頃からばあさんだったのに、一体、今、いくつなんだ!?」

「さぁな…年はわからないが、今でもひとりで暮らしてるし、薬を作ってるんだから、たいしたもんだよな。」

俺達の話は尽きなかった。
エイダンもまだ独身で、さらに、数年前に両親が相次いで旅立ったとのことで、俺が来たことをとても喜んでくれた。



「おまえは、モルドで何をしてたんだ?」

ついに訊かれたくなかったことを訊かれた。



「何って…つまらないことさ。
薬屋の店員とか、薬草の採取とか…」

「だよな。おまえは小さい頃から薬について詳しかったもんな。」

「この町の者はだいたいそうだろ。」

「いや、お前は特にすごかった。
まだ読み書きもたいして出来ないような子供の頃から、薬草の名前や効能を知ってたもんな。
モルドでも重宝がられただろ。」

「……まぁな。」

そう答えるしかなかった。
そもそも嘘を吐いたのは俺なんだから。



でも、俺は薬に関わることはもうする気はなかった。
ここを離れる時には、その気持ちはもうしっかりと固まっていた。

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