The Last -凶悪-
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女子校の中にいても、
男社会の中にいても、
ブスはブスだった。
でも男社会の中ではかえって、
そのほうが気が楽だった。
社員の皆さん、全くといっていいほど私に気を遣うことなく、
力仕事も泥仕事も事務仕事も、
ミスをすれば怒鳴られて、
うまくいけばバンバンと肩を叩かれて・・
同い年の女の子達がカワイイ服を着て、
カワイイお化粧をして街を歩く中、
ヘルメットをかぶって、
すす汚れた素顔で汗を拭って。
ブスと罵られても、お金が貰えるだけこっちのほうが気が楽だった。
「サトミ、もう誕生日過ぎたか?」
「・・・・・・あ、はい一応。」
「よし、じゃあ20歳のお祝いに飲み連れてってやるよ。」
「ありがとうございます。」
先月から続いていた現場の作業が終了した夜、社長さんに言われて思い出す。
そういえば・・先週誕生日だった。
連れてこられたのは、店員の声なんてまるで聞こえないガヤガヤした大衆居酒屋。
お祝いなんかより、
今日の食費が浮くことに喜びを感じた。