The Last -凶悪-
「・・よ~しサトミ・・
・・・もう1軒行くぞぉ!!」
大衆居酒屋を出て、千鳥足の社長さんの後ろについて歩いた繁華街。
その先、ネオンが少し途切れた所にポツンとあったのは・・・
「聞いた事ぐらいあるだろ。
ここはな“Bar”って言って、
まぁ~お前とは真逆の、
綺麗でエレガントな大人達が集まる居酒屋なんだよガハハハ!」
「・・じゃあ私、入店拒否されないといいですけど。」
“カラン カラン”
「いらっしゃいませ。
・・これはこれは枝松社長!
ささっどうぞこちらへ。」
「おうマスター!今日は俺の愛人連れてきたぞガハハハ!」
「愛人・・様でございますか。ハハッ!
ど、どうぞこちらへ。」
さっきのお店と違って、“静寂”という言葉で包まれる落ち着いた空間だった。
カウンター席に座るなり、
マスターさんが社長さんのお酒を作り出す。
「・・・・・・・・・・?」
ふと移した視線・・。
シャカシャカと何かを振るマスターさんの更に奥・・。
もう1人・・店員さんがいる。
その人はずっと仁王立ちのまま・・
まるで彫刻のように動かないで、
視線はずっと下に落ちていた。