The Last -凶悪-


「・・・・お寿司・・・。」


現場終わりに立ち寄ったスーパー。

閉店時間が迫って始まった半額セールに群がる人達。

その中に混じって、
1パック定価1050円のお寿司が目に入る。



“う・・受かった!?おめでとうサトミ!!
うほぉホントか!??”


“よく頑張ったねぇサトミ。セイレンに通えるなんてお母さん鼻が高いよ”


“・・よし!今日は寿司だ!寿司取るぞ!”



貧乏だったくせに無理して丸桶の出前を取って・・私の合格祝いをしてくれて・・



「・・・・・・・・・・・・。」


今日はお父さんの命日という事もあってか、
余計に思い出が蘇る。


社長さん達に連れて行ってもらう以外は絶対に食べなかったけど・・今日だけは・・


最後の1パックとなっていたそれに手を伸ば・・


「・・あ・・・・・・。」


「・・・なんだよ?文句あんのオバサン?」


いきなり後ろから手が伸びたと思ったら、

大学生ぐらいの男の子がヒョイとカゴの中に入れてレジまで歩き出していった。



「・・・・・・・・・・。」


ううん・・。
お金あるわけじゃないし・・別にいっか。


定価300円の焼きそばをカゴの中に入れて、今日の食費は150円で抑えられた。


















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