The Last -凶悪-


―――――― 


久し振りに、お酒が飲みたくなった。


顎が外れそうになりながら、
頬が痙りそうになりながら、

帰宅して確認した天気予報。


明日からしばらく続く大雨予報。

どうせ朝になったら社長君から“今日の作業中止”連絡がくる。






気がつけば街へと繰り出していた。




今日だけはちょっとした贅沢と、
ちょっとした酔いと、大きな優越感に浸る。


この時間になっても開いているお店を見つけては閉店までビールを引っ掛けて、


ネオンが途切れるまで歩き続けて・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・。」



段々と周りの視界がフワフワとし始めた頃に・・


「まだ・・あったんだ・・・。」


20歳の夜に社長さんに連れられてきた“Bar”が、変わらない佇まいでそこにあった。


< 157 / 218 >

この作品をシェア

pagetop