The Last -凶悪-
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久し振りに、お酒が飲みたくなった。
顎が外れそうになりながら、
頬が痙りそうになりながら、
帰宅して確認した天気予報。
明日からしばらく続く大雨予報。
どうせ朝になったら社長君から“今日の作業中止”連絡がくる。
気がつけば街へと繰り出していた。
今日だけはちょっとした贅沢と、
ちょっとした酔いと、大きな優越感に浸る。
この時間になっても開いているお店を見つけては閉店までビールを引っ掛けて、
ネオンが途切れるまで歩き続けて・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
段々と周りの視界がフワフワとし始めた頃に・・
「まだ・・あったんだ・・・。」
20歳の夜に社長さんに連れられてきた“Bar”が、変わらない佇まいでそこにあった。