The Last -凶悪-
色々な事が起こりすぎた夜だった。
・・もう完全に・・
さっきまでの息子君の悲痛な叫び声と、
自分の高笑いが記憶の片隅に追いやられた。
聖徳太子から変わったばかりの、
福沢諭吉をグラスの上に放り投げると、
逃げるようにしてお店を飛び出した。
“ブス” “ブス美”
ブス、ブス、ブス、ブス。
貼られるレッテルはいつも同じ。
だから・・・他人から言われた事も・・
ましてや男の人から言われた事なんて無かった。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
心臓の鼓動が全身に響く。
お酒の酔いが一気に醒めていく。
家に着いても鼓動は治まらないまま、
今までの人生とは違った意味で、
“眠れない夜”を過ごした。