The Last -凶悪-
「氷室さん。楽にしていてくださいね。」
「・・はい・・。」
手術台の上で仰向けになる。
部分麻酔で痛みは全く無かったけど、
確かに感触は伝わった。
もうすぐ・・光が・・・。
私とコウスケさんを、人生の再出発へと導いてくれた光がもうすぐ・・
「赤ちゃん出るよ~!」
「足出た!」
手術台に立つたくさんの先生達が、
マスク越しでも分かる喜びを伝え・・・
「おめでとう~!」
「「「おめでとうございます。」」」
「江口さん、はいお願いします。」
「氷室さ~ん。おめでとうございます、
元気な男の子ですよ~。」
「・・・・やっぱり・・男の子だったね・・
・・・ミライ・・・・・・・。」
「しばらく新生児科でお預かりして、
様子を見ますね。」
「お願いします・・!
またね・・ミライ・・。」
「・・・・・・・・!?」
「・・・!?」
「・・・・遠藤・・。」
「ああ・・。」
「船越先生・・!」
「子宮収縮薬と血漿増量薬、入れます。」
「はい、お願いします。」
・・・・・??
「先生・・・?」
「あ、はい。」
「大丈夫なんですか・・?」
「・・えぇ、大丈夫ですよ。」