The Last -凶悪-
周りにいた他の椎名班の人達が、
慌てて俺達を引き離す。
乱れたネクタイを直しながら・・
高山さんの表情はまるで現場での椎名さんそっくりだった。
「広報部に左遷されて・・呑気にポスター撮影してたお前に何が分かる・・?
一緒に命を賭けて、誰よりも命張って正義を示してくれた・・
俺達の面倒を誰よりも見てくれた椎名班長のお嬢さんが・・
ルミちゃんがやられたんだぞ・・?」
「取り調べは俺にやらせろ。」
「・・・・・・・・。」
「自供すると思ってるのか?
奴はただの犯罪者じゃないんだぞ?
あの凶悪な男を泳がせて、言い逃れが出来ない証拠を見つける算段だったのに・・
わざわざ警察がマークしている事を奴にさらけ出して何が“椎名さんの為”だ!!?」
『神野くん。』
「・・・・・・・・・。」
『私も同じ思いですが、
起きてしまった事はもう仕方ありません。』
「・・・・・・・。」
『私と交わした熱い約束を覚えていますか?』
「・・はい。」
『取調室の中に入る前に、
その頭を冷静にしてくださいね。』
「・・了解。」
平松刑事部長からの連絡も入り、
椎名班の連中も大人しくなる。
フゥと一つ息を吐いて、
ドアノブに手を伸ばした。