The Last -凶悪-
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任意同行という名目だから、“帰る”と言った氷室を止める権利は無かった。
俺の覚悟を汲んでくれたのか、
それとも氷室が途中から放ち出した禍々しいオーラに圧倒されたのか、
取り調べの様子を見守っていた高山さん達も特に何も言わず、
取調室を出た俺の肩をポンと叩いて、
絞り出すような声で謝ってくれた。
「ごめんヒデさん、
結局強がりしか言えなかったよ。」
『十分です。明日から改めて、
協力して証拠固めに入りましょう。』
「誰と喋ってるんですか神野刑事?」
「俺と一緒にお前を追い詰める、
大切な相棒だよ。」
「・・・1対2ですか・・。
俺は不利だなぁ。」
「とぼけやがって・・。
ホントは2対2なんだろ?」
「ウヒャヒャヒャ・・・やっぱお前は他の刑事とはひと味違うなぁ。」
「・・・・・・・・・・・・。」