The Last -凶悪-
「・・あんたは・・
小松サトミの陰に隠れて、
安全な場所から犯行を楽しんでたコウスケの幻影に惑わされてる。
もう馬鹿な真似は絶対にやめろ。
もう大丈夫だと確信できるまで、
俺はこの店に通い続ける。」
「・・・・・複雑ですね・・。
お客様が増えるのは嬉しい事ですが・・
早くご安心させて、通うのをやめさせたいという気持ちもあります。」
「・・・・今日の所はもう帰る。
烏龍茶ごちそうさん。」
「・・・・神野さん・・・。」
「・・・・?」
「・・・・あなたは・・・
誰が一番“凶悪”だと考えていますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「氷室コウスケと・・・。」
「・・・・・。」
「あんただよ・・松阪さん。」
「・・・・・・・フフッ・・・。」
「何がおかしい?」
「ここまで突き止めたあなたに敬意を表します。」
「・・・・・・・・。」
「ですが、物事には“限界”があります。
恐れ入りますが・・
ミライ君を撃ち殺した椎名警部の事までは、あなたの頭に無かったんじゃありませんか?」
「・・・・・・・・。」
「あなたが硫酸魔の正体を追っている間、
椎名警部には椎名警部の物語が進行していたんです。
お嬢様を傷つけられ、
生き残ってしまったことによる“苦痛”に耐えられず、壊れていくお嬢様を間近で見て・・
幸せを破壊された椎名警部の心情は・・
相当なものだったでしょうね・・。」
「そんな事・・あんたに言われなくても分かってる。」
「ご自分を責める必要は無いと思いますよ・・。
神でない限り・・全ての物事を見通すなんて不可能です。」
「・・・・・・・・・。」
「・・フフッ・・神野さん・・・・。」
「・・・・・?」