The Last -凶悪-
神野か・・・。
噂の真偽がどうであれ、
もし本当に彼が戻ってくるなら私は別に賛成だしウチが受け入れてもいいけど・・。
あの春、柏原ミキヒコが起こした事件は思い返すだけで腸が煮えくりかえる。
被害者と同じ年頃の娘を持つ父親として、
動かずにはいられなかった。
当時、堺さん率いる堺班が中心に捜査にあたっていたが、私たち椎名班も応援に加わった。
あの時、神野が本当に柏原へ銃口を向けたのか・・今となってはもういいが、
彼の気持ちは痛いほどよく分かる。
むしろ、発砲しなかっただけまだ彼の理性は賞賛されるべきだ。
もし仮に・・仮にルミが被害者の子達と同じ様な目にあったのなら・・
もし私があの時の神野の立場だったら・・
「・・椎名班長・・・・。
俺今まで以上に事件が起こる度、
色んな情報集めまくりますので、
どうか切らないでくださいよぉ~。」
「・・冗談だって言わなかったか?」
いつの間にか半ベソかいていた高山の肩をポンと叩いて、
溜まっていた調書に目を通し始めた。