The Last -凶悪-
「ちょっとだけ・・
重たい話してもいいかな?」
「はいっ。」
「俺、この世に生まれた瞬間に“人殺し”になったんだ。」
「・・・・え・・・・。」
「母さんは、俺の産声を聞き届けて・・
静かに息を引き取った。
かなりの難産だったみたいで、
出血がひどかったらしい。」
「・・・・・・・・・。」
「病院から紹介してもらったボランティアのママさんに母乳を頂いて、
父さんが慣れない男手で夜泣きする俺をずっとあやし続けてくれて。
ずっと父子家庭で何とかかんとかやってきた。」
「そうだったんだ・・。」
「母さんの話,俺の出生の話を教えてくれた時も、父さんは一切俺を責めなかった。
“母さんはミライを無事に産む事が出来て幸せだったんだよ”って言ってくれた。
“だからそれを負い目に感じる事は無い”
“その代わり、母さんの分も幸せになって、母さんの分以上に人を幸せにしてあげなさい”
って。」
「私が産まれた時・・呑気にゴルフ行ってたウチのパパに聞かせてやりたいです・・。」
「“ファザコン”って言われてもむしろ嬉しいぐらい、
今でもずっと俺は父さんを憧れ続けてる。
なんでも料理が出来て、日曜大工もテキパキで・・・・何より優しかった。」
「じゃあ今も・・・?」
「ううん。1年前に病気で亡くなった。」
「ごめんなさい変な事聞いて・・。」
「謝る事ないよ。
もう色々と落ち着いたしね。」
「・・・・・・・・・。」