The Last -凶悪-
「さっきの言葉の他にも、
とにかく父さんは、“他人の幸せを叶えられる大人になりなさい”
って言い聞かせてくれた。
それでこの道を選んで、
今こうして幸寿苑で働かせてもらって、
毎日たくさんの家族の幸せの風景を見ることが出来て・・
父さんの言葉は間違ってなかったって痛感してる。」
「・・・・・・・・・。」
「自分が運んだシャンパンで、
みんなが乾杯する。
自分が作った料理が、
みんなの胃袋を満たす。
自分が当てたライトで、
新郎新婦が輝く。
自分が出した音で、
場のムードが一気に高まる。
自分が撮影した写真が、
その人達の一生の思い出になる。」
「・・・・・・・・・・。」
「そこには例外なく“弾ける笑顔”がある。
それを見たら・・
自然と自分も笑顔になってる。」
「・・・・ミライさーーーん(ToT)」
「お・・おぉ。今日はいつも以上に涙もろいねマユちゃん。」
気がつけば、5本目のつくねを持ったまま、
ミライさんの話に聞き入っていた。
明日は休みだし、
まだまだ無限の胃袋に限度はない!
「マユちゃん飲み過ぎてない?」
「今日は私とミライさんのご両親に祝杯を~~!!」
「お・・おぉ。ありがとう。」
「・・でも・・ミライさん・・。」
「うん?」
「今日もいっぱい動き回ったので・・
いい加減、座りたいです!!!」
「・・お!おぉごめん気が利かなくて・・。
じゃあ2軒目はちゃんと座れる所に行こっか。俺の知り合いがやってるBarがあるから。」
「わーい!」