The Last -凶悪-
「だが・・その調書に書いてあるキーワードを見た瞬間・・妙な胸騒ぎが起きた。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「男子生徒はいきなり後ろから唐辛子スプレーを吹きかけられ、視界を奪われた後、
金属製の凶器で右肩、右手首を殴打され、
そして・・・・」
「最後に、右手首へ【硫酸】をかけられ、
重度の火傷を負った・・・・。」
目の前に、かつて数々の事件へ一緒に立ち向かった元相棒の堺さん。
手に取る調書に・・“硫酸”の文字。
頭の中で、記憶が一気に呼び起こされていくのを実感した。
「椎名・・・。これまで、俺達がたった一つだけ解決できなかった事件。
35年前に発生した【連続 硫酸傷害事件】に似てるとは思わないか?」
「相手の視界を奪い、自らの姿を目撃させないようにしてから犯行に及ぶ点。
犯行の最後に硫酸を使う点・・。」
堺さんの目を見て、疑問を投げかける。
血気盛んな新米だった私達が意気揚々と立ち向かい、
そして無様にも犯人を挙げられなかった35年前の連続傷害事件。
犯行パターンには毎回、
先に述べた2つの共通点があった。
そして・・・もう1つ・・・・。