The Last -凶悪-
男の人の名前としては珍しいかもだけど・・
ミライさんは基本的にホールスタッフを務めながら、
厨房に入ってキッチンスタッフを務める事もあれば、
会場の一番上に昇って音響・照明スタッフを務める事もあれば、
抜群のカメラワークと、
抜群のパソコン技術を駆使する撮影・映像スタッフも務める・・
“幸寿苑のスーパーマン”とも呼ばれる人だった。
「ほいほい。新郎新婦のテーブル回り始まったから、また出動よろしく。」
「・・はーい。」
「あ、マユちゃんは新婦ご友人のテーブルだけで大丈夫だからね。」
「え・・いいんですか?」
「酔っ払いの相手は俺の得意分野だから。
親族と新郎ご友人はこっちに任せて。」
「・・ありがとうございます。」
ミライさんは・・いつもひょうひょうと何でもそつなく器用にこなす。
いつもニコニコ笑ってる。
そして・・いつも楽しそうに仕事をしてる。
現在進行形で心が折れていても、何とか私が食らいついて頑張っているのは、
そんな先輩の後ろ姿を間近に見ているからだった。