The Last -凶悪-
『神野くん、断っておきますが、
私はそういうものはあまり信じ・・』
「あ~分かった分かった。
みなまで言わなくてもいいよ。」
「・・大丈夫ですか?」
「はい。うちの上司は俺と違って“事実”を重視するクチですが、
ここは現場を優先させてもらってるんで。
じゃあ山本さん、話題を少し変えて・・」
「はい・・。」
「余計に辛い思いをさせてしまうかもしれませんが・・
あなたは当時、どんな“幸せ”を・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「“里見八犬伝”という映画を・・
神野刑事はご存知ですか?」
「・・・・・・すみません。
あまり映画とかドラマを知らずに育ってきたので・・。」
「では役者の名前を言っても・・?」
「あ、高良健吾と宮崎あおいなら知ってます。
学生時代に付き合ってた子に無理矢理、
映画館へ連れて行かれたので。
映画の名前は忘れちまったけど。」
「そうですか・・。
逆に私はその方達を知りませんが・・
当時の真田広之と薬師丸ひろ子のような方なんでしょうね・・。」
「その、“さとみはっけんでん”っていうのは・・?」
「当時・・私も役者をやってましてね。
頭に“売れない”という言葉が付きますが・・。」
「・・・・・・・・・。」