クリスマスのシンデレラ
心配になって目をしばたいた
「いつも冷静沈着の桃子のことだから
同期のよしみで気づいているのは
あたしだけだと思うわよ
顏はたしかにハンサムよね
でも外科医特有の冷血漢っていうか・・・
彼ってちょっと怖くない?
それにかなりおじさんだし 」
桃子は憤慨して言った
「まぁ!彼はそんなことないわ
年上って言ってもたった8歳年上なだけよ!
そりゃ・・・
ちょっと近寄りがたい所もあるけど・・・・
責任感の強い頼りになれる人だわ! 」
「またそうやってかばう~」
桃子がムキになればなるほど
早苗は面白がった
肩肘をついて桃子をじろじろ見る
ずいぶん酔いが回っているようだ
「いい?
男を落とすためにはとりあえず
そのアラレちゃんみたいな
黒縁メガネを止めることね!
そのメガネだけで男はあんたの
パンツを下ろそうとは思わないわよ 」
「コンタクトは合わないのよ」
早苗は顏をしかめて言った
「それに髪も長すぎてやぼったいわ
あたしの行きつけのヘアスタイリストを
紹介してあげる
カットしてカラーやハイライトを
入れるだけでずいぶんと印象が
変わるものよ!」
桃子はなんとか笑顔を作って言った
「そうね 気が向いたらお願いするわ」
さらに早苗は続ける
「あなたさえよかったら
内科の桧山先生をお勧めするわ
もっとも・・・・
女癖が悪いのは玉にキズだけど
割り切って遊ぶには最適の相手よ
それに彼のヒップ・・・・ 」
何かを思い出したのか
早苗はいやらしく笑って言った
「とにかく!
世の中の男をもっと見るべきだわ桃子
考えて!ね? 」
そう言うと早苗はスマホ片手に
彼とのツーショットを見せびらかして
騒いでいる麻紀のグループの中に
もどっていった
桃子の顔が悲しく曇った
実際桃子は新藤に初めて会った時から
淡い恋心を抱いていた
彼は桃子の勤める総合病院の
優秀な医師の中でも将来外科部長を
約束された期待の星だった
いつも難しい診断をし
彼の手術のカレンダーは予定が
びっしりだった
もっともそういう優れた医師と普段
顔を突き合わせているのは