Seven Days Story 〜あなたの好きな人が Ⅱ 〜
そこには紙切れとチョコのクッキーのようなものが入っていた。
まずは紙切れの方を取り出してみる。
ノートを切ったような小さな紙。
二つ折りになっているのを開いてみる。


「一週間お疲れ様」


彼の特徴的な小さな字で書かれたそのたった七文字が、私の目へと飛び込んできた。


『えぇ…?えっ…へへへっ』


何度も何度もその七文字を読み返す。
彼が…?
彼が入れてくれたの…?
ウソ…!!
嬉しい~~!!!
私はその場にしゃがみこんでその紙切れを握りしめた。


『…ふふふっ』


自然と笑いが零れる。
…というより、笑みが止まらない。
周りから見たら変な人じゃない?私。
でも今はそんなことはどうでもよい。
今日はあまり彼とも話せなかった。
いや、話していないのでは?というほどだ。
ここで彼から何かあるとは思いもしていなかった。

…あ、そういえばなんかお菓子もあったな…。
そう思い、バッグに入っていたチョコのクッキーを取り出す。


『私、チョコ大好きなんd…って、えっ!?』


そのクッキーは“ビター”チョコのクッキーだった。


『うっそ~!!』


実は、私はチョコは大好きだけどビターなど苦いものは苦手なのだ。
この前それを彼と話していたら、軽く馬鹿にされた覚えが…。
多分、いや、絶対彼はわざとビターにした。
ちょっとしたいやがらせじゃん!!
でも…せっかく彼が入れてくれたものだ。
食べなきゃもったいない。
そう思い、私はクッキーを口にした。


“ねぇ~!?まだ~?長いよ~!!”


廊下の方から声が聞こえる。
うそ?
ここまで来ちゃった!?
ヤバ!!
私は急いでクッキーを飲み込み、『あった~!!もう行く~!!』と言いながら廊下へと走り出す。







彼からのビターチョコクッキーはやはり、苦かった。


だけど、それでも甘かった気がした。



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