Seven Days Story 〜あなたの好きな人が Ⅱ 〜
『おまたせ……って、あれ?』
彼が座っていたはずの席には誰も座っていなかった。
えっ……私を置いて帰った⁉
どういうこと?
連絡しようとスマホを取り出すと、彼からメッセージか届いていた。
「ごめん。忘れ物したかも。ちょっと取ってくるから出口で待ってて。」
とのことだった。
え…忘れ物なんかしてたっけ?
ご飯を食べたとき彼のスマホも財布もバックもちゃんとあった筈だけど…。
どこか教えてくれていないし、とにかく待っておこうかな……。
そう思い出口あたりに向かうが、一人になるとやはり不安だ。
『どこに?』
とメッセージを送信するも、既読はつかない。
急にいなくなったから余計に不安だ。
1分がとても長く感じる。
行こうかどうか迷っているとき、彼が走って帰ってきた。
「ごめんごめん。見つかったから行こっか。」
そう言って、来た道を引き返そうとする彼。
それだけ?
不安だったんだよ?
そういう思いがこみ上げてくる。
私はその場に止まり、口を開いた。
『ねぇ…何忘れたの?忘れ物したなら一緒に探すよ?一人置いてかないでよ…!すごくびっくりしたし不安だったんだよ‼』
一人置いて行かれたのが怖くて。
その理由を聞きたくて。
つい少し怒鳴ってしまった。
頬が少し濡れているのが分かる。
あぁ、今絶対めんどくさい人だって思われた。
こんなとこで大声出す人なんてって。
「…ごめん。ちょっとこっち来て。」
私はその彼の言葉と共に私は少し端へと引っ張られた。
「…その…。まず……ごめん」
彼は俯いた。
「けど、置いていかなきゃいけないことだったんだよ…。」
置いていかなきゃいけない?
どういうことだ…?
そんなにも私に言えないこと…?
「手、貸して」
そう言って、手を差し出す彼。
私は恐る恐る彼の手の上に自分の手を乗せた。
彼はポケットから何かを取り出し、それを私の手へと向かわせた。
その瞬間、小指にヒヤッとした感触が。
「これ」
そこには、先ほどの店で見ていたピンキーリングだった。
『…なんで?』
「…理由もあるかよ。けど…置いてったのは…悪かった。」
彼はまた俯いた。
今はもう、不安が全くなかった。
彼からのプレゼントが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
私は頭を下げている彼に抱き着く。
「…な…なんだよ!!人前だぞ!!…近いって……!!」
冷たくて。
素っ気なくて。
素直じゃない彼。
だけど、そんな馬鹿みたいで。
不器用で。
でもカッコイイ彼。
だから…
『…だから大好きなんだよ、馬鹿!』
彼の抵抗する力が消えた。
「…可愛いかよ」
ボソッと零した彼の声が聞こえる。
…ん?
ちょっと待って、「可愛い」って言った!?
え?え?え?え?
ほんと?
『えっ…!!可愛いって今言った!?』
「言ってない。」
『言ったよね!?』
「そんなもん言うか。」
『い~や、言ったね!!』
「馬鹿、言う訳無い。もう行くぞ。」
彼は歩き出す。
…やっぱり私は彼が大好きだ。
これからもずっとずっと大好きにさせてよね、馬鹿。
彼に伸ばした私の手は光に照らされ、輝いていた。
❧fin❧
彼が座っていたはずの席には誰も座っていなかった。
えっ……私を置いて帰った⁉
どういうこと?
連絡しようとスマホを取り出すと、彼からメッセージか届いていた。
「ごめん。忘れ物したかも。ちょっと取ってくるから出口で待ってて。」
とのことだった。
え…忘れ物なんかしてたっけ?
ご飯を食べたとき彼のスマホも財布もバックもちゃんとあった筈だけど…。
どこか教えてくれていないし、とにかく待っておこうかな……。
そう思い出口あたりに向かうが、一人になるとやはり不安だ。
『どこに?』
とメッセージを送信するも、既読はつかない。
急にいなくなったから余計に不安だ。
1分がとても長く感じる。
行こうかどうか迷っているとき、彼が走って帰ってきた。
「ごめんごめん。見つかったから行こっか。」
そう言って、来た道を引き返そうとする彼。
それだけ?
不安だったんだよ?
そういう思いがこみ上げてくる。
私はその場に止まり、口を開いた。
『ねぇ…何忘れたの?忘れ物したなら一緒に探すよ?一人置いてかないでよ…!すごくびっくりしたし不安だったんだよ‼』
一人置いて行かれたのが怖くて。
その理由を聞きたくて。
つい少し怒鳴ってしまった。
頬が少し濡れているのが分かる。
あぁ、今絶対めんどくさい人だって思われた。
こんなとこで大声出す人なんてって。
「…ごめん。ちょっとこっち来て。」
私はその彼の言葉と共に私は少し端へと引っ張られた。
「…その…。まず……ごめん」
彼は俯いた。
「けど、置いていかなきゃいけないことだったんだよ…。」
置いていかなきゃいけない?
どういうことだ…?
そんなにも私に言えないこと…?
「手、貸して」
そう言って、手を差し出す彼。
私は恐る恐る彼の手の上に自分の手を乗せた。
彼はポケットから何かを取り出し、それを私の手へと向かわせた。
その瞬間、小指にヒヤッとした感触が。
「これ」
そこには、先ほどの店で見ていたピンキーリングだった。
『…なんで?』
「…理由もあるかよ。けど…置いてったのは…悪かった。」
彼はまた俯いた。
今はもう、不安が全くなかった。
彼からのプレゼントが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
私は頭を下げている彼に抱き着く。
「…な…なんだよ!!人前だぞ!!…近いって……!!」
冷たくて。
素っ気なくて。
素直じゃない彼。
だけど、そんな馬鹿みたいで。
不器用で。
でもカッコイイ彼。
だから…
『…だから大好きなんだよ、馬鹿!』
彼の抵抗する力が消えた。
「…可愛いかよ」
ボソッと零した彼の声が聞こえる。
…ん?
ちょっと待って、「可愛い」って言った!?
え?え?え?え?
ほんと?
『えっ…!!可愛いって今言った!?』
「言ってない。」
『言ったよね!?』
「そんなもん言うか。」
『い~や、言ったね!!』
「馬鹿、言う訳無い。もう行くぞ。」
彼は歩き出す。
…やっぱり私は彼が大好きだ。
これからもずっとずっと大好きにさせてよね、馬鹿。
彼に伸ばした私の手は光に照らされ、輝いていた。
❧fin❧