夏に溶けて、死んじゃえばよかった。



「あっ、そうだ」



なんとなく青くなった空気を、上からのしかかってくるように流れる空気を、変えるためなのか。

彼が突然大声を出した。

上体を起こしている私と、椅子に座っている彼。

視線の先が違うのも、必然で。



「これ、あげる」

「なんて花?」

「竜胆(リンドウ)っていうんだよ」



私はへぇ、とこぼした。綺麗な花。

たった2輪の釣鐘型。まっすぐと咲いている。


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