あなたの愛に包まれて
剣持が言葉を濁していると千晃は剣持が後ろに隠した花束を見てすべてを悟った。
「これ・・・」
千晃に剣持はぎこちなく笑った。
「辞めさせられるのね・・・」
千晃は父の考えたことが分かった。
営業2課に移動なんて嘘だ。移動してすぐに辞めさせるつもりだったんだ・・・。

「ごめんなさい・・・剣持さん・・・ごめんなさい・・・」
千晃はその場に崩れ落ちた。
床に頭をつけるようにして剣持に謝る。

剣持が慌てて千晃を起こそうとしても千晃は頭を上げなかった。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
何度も謝る千晃。
それでも涙が出ない。

千晃は無理やり秘書に抱き上げられて車に乗せられた。
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