あなたの愛に包まれて
「どういたしまして」
匡祐は穏やかな口調で答える。

千晃は一人ではないと実感して、あたたかな涙があふれて止まらなかった。

待機していた医師の診察を受けて千晃は点滴をしながら匡祐のベッドで眠っていた。

長時間体を冷やしたのと、足のやけどの影響もあり熱が高い千晃はすぐに眠ってしまった。

「これから、どうしましょうか・・・」
剣持の言葉に匡祐はいたずらに微笑んだ。
「俺に考えがあります。」
その頼もしさに剣持は思わず微笑みが移っていた。
「剣持さんにも、お願いしたいことがあります。」
匡祐は自分の書斎からまだ途中だった資料を助川と剣持に見せた。

助川と剣持は匡祐の顔を見て不安そうに目を合わせる。
「こんなにうまくいくでしょうか」
剣持の言葉に匡祐は「どうですかね。でも、やってみる価値はあるでしょう」と答えた。
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