あなたの愛に包まれて

匡祐の部屋には医師が用意した車いすもあったが匡祐はどうしても直接千晃のぬくもりを感じたくて使っていない。

匡祐は剣持と相談して、匡祐が仕事で離れているときは剣持に千晃のそばにいてもらうようにお願いをした。

匡祐の作ったフレンチトーストを食べた千晃はそのおいしさにぺろりと完食した。
匡祐も嬉しそうに千晃を見つめている。
「お嬢様」
そこに現れたのは剣持だった。
剣持は千晃が昔から好きだったフルーツ店の生ジュースを出した。
「おいしい」
千晃はジュースを一口飲み、そのなつかしさに微笑んだ。

「私が失敗したり、何かを頑張れた時、剣持さんは絶対に褒めても慰めてもくれなかったけど、次の日に必ずこのジュースを出してくれましたよね？」
千晃が剣持を見る。
剣持は照れ臭そうに視線をそらした。
「ありがとうございます」