あなたの愛に包まれて
「おいしい！」
剣持の作った夕飯はパスタやスープ、サラダにデザートのアップルパイまであった。
どれもおいしくて匡祐はスーツから部屋着に着替えるとすぐに食事を始めた。
千晃も嬉しそうに匡祐に続いて食べ始める。
匡祐があつあつのスープを覚ましながら口に含みそれでも熱いともう一度息を吹きかけていると、千晃は表情を変えずに口にスープを含んだ。
思わず匡祐が千晃の手を止める。
驚き千晃に匡祐は「熱いから覚ましたほうがいいよ」と声をかけた。
匡祐の言葉に千晃が息を吹きかけて慎重にスープを口に運び始めた。

匡祐と剣持は目を合わせる。

まだ千晃の感覚がもとに戻っていないことを二人は感じていた。

知らないうちに千晃がけがをしたり、やけどを悪化させることのないように二人は最新の注意を払っていた。

匡祐のフレンチトーストを食べた時も、千晃は本当は味覚も鈍っているのではないかと匡祐は感じていた。
< 161 / 270 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop