あなたの愛に包まれて
「ごめんなさい。会議が長引いて。」
千晃が剣持と慌てて結婚式場につくとそこには匡祐と匡祐の父がいた。
匡祐の表情が険しい。
「お久しぶりです。」
千晃が匡祐の父に頭を下げる。
「言いたいことは言った。戻る。」
匡祐の父は千晃が部屋に入ると席を立ち、千晃のあいさつに返事もせずに部屋を出た。

「ごめんな。いつもいつも。」
匡祐は千晃の方を見て微笑んだ。
その表情にはかなり疲れが見える。

「大丈夫?」
千晃は匡祐の隣に座り机の上の座席表やプログラムの書類が目に入った。
真っ赤なインクで訂正がされている。

中でも一番目についたのは座席表の一番奥の奥の方の席にあった匡祐の母と力の名前が消されている部分だった。
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