あなたの愛に包まれて
大崎は唇をかみしめながら自分の席へ戻った。
「おかえりなさい」
千晃が微笑む。


千晃はこうして財閥を取りまとめるために調査をしたり、実際に神崎の会社を視察していた。


会議が終わると千晃は会長室に入り靴を脱ぐ。


窮屈な靴。

窮屈さから解放された足はまっすぐに今日も大きな窓のそばへ向かう。


厳しい話をするたびに千晃の心が痛む。

感覚が再び鈍り始めている千晃が感じる唯一の感覚は”痛み”だった。
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