あなたの愛に包まれて
「お嬢様の状態を知っているのは幹部の数人ですが、お嬢様の立場を危うくさせようとする動きが出始めています。今はなんとか封じていますが、いつまでできるか・・・。」
「そうですか・・・。」
匡祐は何もできない。
千晃が目覚めないことには何もできない。

そんな二人が大きなため息をついていると病室の扉が開けられた。

そこには車いす姿の千晃の父が立っていた。
剣持と匡祐は思わず立ち上がり頭を下げる。

千晃の父は匡祐の前で車いすを止めた。

「元気だったか?」
「はい。・・・申し訳ありませんでした・・・。」
深々と匡祐は千晃の父に頭を下げた。
千晃の父は匡祐の前で千晃の方を見ながら話し始めた。
< 231 / 270 >

この作品をシェア

pagetop