あなたの愛に包まれて
「昼食、食べました？」
匡祐が沈黙を破る。
「今日はまだです。」
千晃の言葉に匡祐が待っていましたとばかりに席を立った。
「ちょっと冒険しません？」
「へ？」
匡祐はそういうと千晃の手をつかんだ。
「えっ？」
「ほら」
匡祐が無邪気な笑顔を向けながら千晃の手を引き会議室の扉に手をかけた。
ちらりと千晃の方を見て足元を確認する。
今日の千晃は仕事がしやすいようにとローヒールの靴を履いていた。
「走るの得意ですか？」
「・・・まっ、まぁ？」
千晃の返事に匡祐はいらずらをする子供のようににやりと微笑んだ。
「用意っ」
そういうと匡祐は千晃の手をしっかりと握りしめながら反対の手で会議室の扉をギュッと握る。
「ドンッ！！！！走れ～！！！」
匡祐の声で会議室の扉があき、千晃は匡祐にぐいっと手を引かれ廊下を走りだしていた。
< 24 / 270 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop