あなたの愛に包まれて

千晃は上がらない腕の分、自分の頭を剣持につけてそのぬくもりを感じた。
剣持は泣きながら千晃を抱きしめ続ける。
千晃の瞳から無数の涙が伝った。
「待っていましたよ。私は信じて待っていました。お嬢様がもう一度目を覚ますこの時を。ずっと待っていたんですからね。」
「・・・ありがとう・・・」
ふたりにはふたりにしかわからない時間がある。

匡祐はそんなことを考えながら二人を温かく見守っていた。

少しして千晃の体からがくっと力がぬけて、剣持は慌てて千晃の体を支えた。

匡祐がすぐに千晃に手を伸ばす。
「疲れたか？」
匡祐の言葉に答える体力すら千晃には残っていなかった。

匡祐は千晃の体を抱き上げてベッドに寝かせた。