あなたの愛に包まれて
終わりじゃなく始まり
匡祐と手をつなぎ千晃は一歩一歩階段を登っていた。ゆっくりとゆっくりと。

匡祐の手には色とりどりの花。

ずっと二人で着たかった場所に、千晃が退院してやっと来ることができた。
「大丈夫か?つかれてない?」

「ちょっと休憩。」
そう言う千晃に、匡祐は自分の持っていた花を預けた。
「?」
千晃が何のことかわからずにいると匡祐が不意に千晃の前にしゃがみぐいっとおんぶした。
「え?大丈夫だよ?歩ける」
千晃の言葉に有無を言わさず匡祐は階段を登り始めた。
「こうしないと力に叱られるからな。」
そう言って力強く階段を登っていく。

二人は力のお墓に来ていた。
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