あなたの愛に包まれて
しばらくして千晃が目を開けると匡祐はまだ手をあわせていた。

匡祐は今日まで力のお墓には来ていなかった。

来ていなかったというよりもこれなかったというほうが正しい。

自分のせいで力が亡くなったと思っていた匡祐。

その匡祐がやっと力のもとへこれたことに千晃は涙があふれた。

兄弟の再会だ。

千晃は力と匡祐が無邪気に話す姿や、匡祐がどんなに疲れていても力の施設へ通っていたことを思い出していた。

匡祐が目を開けると千晃が気づかれないようにそっと涙を拭っていた。
< 259 / 270 >

この作品をシェア

pagetop