あなたの愛に包まれて
「私、今自分の中からエネルギーが湧いてきてるの。すっごいんだから!」
千晃が匡祐の胸から体を離して匡祐を見た。
「心があったかくてね、体がポカポカしていて、何かをしたくて仕方ないの。こんなの初めて。」
千晃があまりにも顔を輝かせているのを見て匡祐は愛おしさがこみ上げる。
「だから、私は無理をしているわけじゃなくて、やりたくてやってるの。」
「本当に?無理してない?疲れてない?」
「全然っ!」
千晃がさらに瞳を輝かせる。
匡祐は再び千晃を抱きしめた。


「それにね、私こんなに温かさや冷たさを感じるのが久しぶりでうれしいの。」
千晃の言葉に匡祐が体を離す。
「匡祐さんと離れてから少しずつまた私の感覚はおかしくなってた。でも、目覚めてからの時間は少しの温かさも少しの冷たさも、なんだって感じられる。さっきも熱さも冷たさも感じることができた。それがうれしくてたまらない。生きているって実感できるの。」
匡祐は千晃を再び強く強く抱きしめた。
「あったかい?」
「うん。あったかい。」
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