あなたの愛に包まれて
千晃には匡祐の『その日まで』の意味が分かった。
「千晃さん。あなたの人生を狂わせてしまうかもしれない。でも、必ず一緒にいる時間あなたが幸せや喜びを感じられるように私は精一杯のことをします。あなただけでなくあなたの家族も守り大切にします。だから、私に力を貸してください。あなたの時間を私にください。お願いします。」
匡祐はそう言って深く深く頭を下げた。

「私は・・・」
千晃が話始めると匡祐が顔を上げた。
「私は財閥の後継者ですが実質、力は持っていません。財閥のお飾り、財閥のお荷物なんです。」
本音で話をする千晃はまっすぐに匡祐を見た。
「あなたの力になりたい。私にできることがあるのなら協力したい。でも、私に何ができます?」
その言葉に匡祐は千晃の手を握った。

「千晃さん、私はあなたを昔から知っていました。テレビや雑誌を通してだけど、あなたがいつも微笑みながらも孤独そうだと感じていた。ずっと気になっていたんです。うまく言葉にできないけど、目で追う存在でした。ずっと見ていたい、近づきたいそんな風に思っていました。」
二人はまっすぐに見つめ合う。

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