あなたの愛に包まれて
「ぐ~」
千晃のお腹がかわいらしい音を立てて、二人はふと目と目を合わせて笑いあった。
「お腹すいちゃった」
千晃の言葉に匡祐が微笑む。
「何食べよっか」
言葉がなくてもお互いの気持ちが伝わりあう。
相手に何が欲しいか、二人は自然と分かりあう。
今二人が欲しいのはお互いの言葉じゃない。
ただ近くにいて、ただ一緒に太陽の光を浴びて、ただ温かいものを食べる。
それだけで十分だ。

「ハンバーガー」
千晃の言葉に「そうこなくっちゃ」と匡祐が笑った。

匡祐が千晃の部屋のドアを開けるとドアに耳を近づけていた剣持と助川が慌てて一歩下がった。
「立ち聞きですか?」
「申し訳ありません」
そう言って謝る剣持と助川があまりにも似ていて匡祐と千晃は笑った。
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