あなたの愛に包まれて

次の日匡祐は神崎財閥の千晃のもとを訪ねていた。
「先日はお世話になりました。」
先に会議室に現れた剣持が頭を下げた。
「いいえ。その後彼女はどうですか？」
「はい。狂ったように仕事をしているのには変わりはありませんが、食事はとってくださることが増えました。」
「そうですか。」
「はい。」
『コンコン』
そこで会議室がノックされて千晃が入ってきた。
「お待たせして申し訳ありません」
頭を下げて会議室の奥に歩いてくる千晃は顔色も以前よりはよくなっている。

「本日は来週の婚約記者会見に向けて、今後の日程の最終調整をいたします。」
剣持が話を進めていく。

季節は夏。婚約から両家顔合わせ、結納、結婚という順序を踏み、年内には結婚をする方向で話がまとまった。