あなたの愛に包まれて
「衣装部が決めた指輪を会見で使うとしても、俺は二人で選びたいな。」
匡祐は千晃に笑顔を向ける。
「どう思う？」
千晃に話を振ると、千晃は突然選択を迫られて焦っていた。
「千晃さんの意見が聞きたいな。」
匡祐の言葉に剣持も千晃の答えを待った。
「私も・・・選びたいです・・・できれば・・・」
遠慮がちに言ったその言葉に匡祐は満面の笑みで答える。
「じゃぁ、決定！」

二人は2日後、ジュエリーショップを貸し切って指輪を選ぶことにした。

匡祐は自分の会社に戻ってからも千晃のことを考えていた。
本当は父の勝手に決めた婚約相手にこんなにも自分の気持ちが惹かれるとは思ってもいなかった。

母の体調が戻ったら・・・母の医療費をためることができたら・・・弟の将来への道しるべができたら・・・匡祐は財閥から身をひくと決めていた。そもそも、地位や富には興味はない。
ただ、大切な家族と笑って暮らせればそれでいいと思っていた。それが一番の匡祐の望みだ。
お金など食べるのに困らなければいい。そう思っていた。
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