あなたの愛に包まれて
つい1カ月前に神崎財閥の神崎千晃は報道陣からの質問で自分が福山財閥との政略結婚をすることを知った。
父にその件について問い合わせをしようにも、父との連絡を取る手段がない。
千晃がなにか父に伝えていことがあるときには自分の秘書から、父専属の秘書に連絡を入れてもらうという手順を踏まなくてはならなかった。
もちろん、父の連絡先すら千晃は知らない。

その日から千晃はイメージしてきた。

自分の心が枯れているイメージ。

自分の心が枯れて死んでしまったのだと思わないと現実に心が壊れそうだった。

運命に逆らうことすらできない自分への憤りで頭がおかしくなりそうだった。


主人公が幸せになり愛情あふれる物語の本を読みながら、その作品の中に自分の心が入り込んでいる間だけが唯一愛を感じられた。

この1か月間で読み漁った本は一日に数冊の勢いで増えていった。
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