あなたの愛に包まれて
「私、力さんにもらった金の折り紙は大切に机にしまってあるんです。この金の折り紙は今度力さんのところにお邪魔するときにプレゼントしようと思っていた折り紙セットから使ってしまいました。」
千晃はカバンからたくさんの折り紙が入ったケースを出した。
「はやく元気になってこれでちぎり絵作ってください。」
匡祐が千晃からケースを預かり中を見ると、さまざまな種類の折り紙が入っていた。
「これ?」
匡祐の質問に千晃が力から匡祐に視線を移す。
「集めるのが楽しくなってしまって。折り紙にもいろいろな素材のものやデザインのものがあるんですね。デザインがとても参考になりました。」
そう言って笑う千晃に匡祐はぐっと心をつかまれた。

「これ・・・」
千晃がふと匡祐の唇に触れる。
昨日唇をかみしめて血が出た後がある。
「痛かったですね・・・」
大丈夫かとは聞かない千晃。
匡祐の心の痛みを知っているからこその言葉に匡祐は千晃をありったけの力で抱きしめていた。
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