I love you and world!
ちなみに、柚はベトナムさんの緑のアオザイを、前川はフィンランドの水色の軍服を、神木はカナダの温かそうな軍服を、玉井はスペインの軍服を着る。

「楽しみね!」

私は衣装を眺めながら言う。みんなも「うん」と頷く。その頰はほんのりと赤い。

その夜、事件が起きるとも知らずに私たちは笑い合っていた。



次の日、私は部室に忘れ物をしたことに気づき、今日は活動はなかったのだが、部室の鍵を借りてドアを開けた。

その刹那、目の前にある光景に言葉を失う。床に座り込み、しばらく目の前の光景を見つめ続けた。

床には、私たちがハロウィンパーティーで着る衣装がビリビリに破かれて散乱していた。私は震える手で柚たちに電話をかける。でも、電話で何を話したのか覚えていない。

「梓!」

「梓ちゃん!」

「姫野さん!」

座り込んだままの私に、柚たちが話しかける。

「……みんな……」

柚たちの顔を見た刹那、私の目から涙がこぼれる。
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