I love you and world!
犯人を捕まえたい。でも、部室に戻ってからみんなは新しい衣装がどこにあるという話しかしなかった。



部活が終わり、私たちは部室から当然出る。家に帰ろうとする私の腕を、「ちょっと待って!」と前川が掴む。

「何?」

「今から犯人を待ち伏せしよう」

「いつ現れるかわからない犯人を?」

「犯人は、衣装を次の日に破いてあった。今回も僕らが帰った後に破く可能性が高いよ」

「でも、部室には衣装は置いてないわ」

「盗聴器でも仕掛けたんじゃないか?」

神木の言葉に私は目を見開く。確かに、学校ではハロウィンパーティーのことで盛り上がっている。でも、私たちはどんな衣装を着るのか、衣装は用意してあるのか、誰かに言ったことはない。

「とりあえず、隠れよう!!」

柚が私の手を引き、部室と衣装を隠した空き部屋が見える場所へと向かい隠れる。なんだか刑事になった気分。

「いいか、絶対に気を抜くな!ここは戦場だ!ってドイツなら言いそう」

玉井の言葉に、私は思わず笑ってしまった。
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