I love you and world!
張り込みを始めて一時間。待っている間、ずっとヘタリアのことについて私たちは話している。

「ねえ!自分の推しキャラっている?私はトマト一味!!」

トマト一味とは、ヘタリアのグループタグの一つ。スペイン、ロマーノ、ベルギー、オランダの四人のことね。

「俺は、北欧」と神木。

「やっぱりリヒテンちゃんじゃない?」と玉井。

「プロイセン!」と前川。

私も、「ここは主役のイタリアちゃんでしょ!」と言う。

そんなことを話していると、ガチャリと空き部屋のドアが開く音がした。部員以外の誰かが部屋に入ったようだ。私たちは互いに顔を見合わせる。そして、真剣な表情で頷いた。

空き部屋へ向かう足が、軽いはずなのに重く感じる。今まで嫌がらせをしてきた犯人を捕まえるのだと思うと、ドキドキと胸が緊張した。

「何しているの!!」

そう言い、柚がドアを思い切り開ける。そこには、大きなハサミを手にした女子生徒。スリッパの色が違う。二年生の先輩だ。
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